太陽電池の種類と特徴

 太陽電池には非常に多くの種類があり、現在、実用化もしくは研究がすすめられているものだけでも数十種類あります。

 太陽電池を分類する方法は「材料の種類による分類」、「材料の厚みによる分類」、「動作原理による分類」などいくつかの方法がありますが、「材料の種類」によっておおまかに分類すると、下の表のように太陽電池はシリコン系、化合物半導体系、有機系の3つに分けることができます。

太陽電池の種類

実用化されているシリコン系と化合物半導体系

 現在、流通している主な太陽電池はシリコン系太陽電池化合物半導体系太陽電池であり、現在のところ歴史の長いシリコン太陽電池が流通量の大半を占める状況ですが、製造コストの面で強みをもつ化合物半導体系太陽電池も販売量を伸ばしています。

今後の実用化が期待される有機薄膜、色素増感型、量子ドット型

 上記の2種類以外にも、それらが抱える原材料や製造コスト高といった課題を解決するために有機系材料を使用した有機薄膜太陽電池色素増感太陽電池の研究が進められています。

 これらの太陽電池は製造プロセスの容易さや低コストな原材料がもたらす低価格化以外にも、太陽電池自体を着色しデザイン性を持たせることで、太陽電池にこれまでなかった価値を付加するなどの利点もあり実用化が待望されています。

 また、材料の種類による分類になじまないため上の表には載ってませんが、変換効率を飛躍的に高める研究として量子ドット太陽電池の研究も進められています。

各太陽電池の特徴と変換効率

 主な種類の太陽電池について、その特徴、変換効率と実用化の状況をまとめると下の表のようになります。

分類 特徴 モジュール
変換効率
実用化
状況※1
シリコン系 単結晶 高純度シリコンを使用するため高価だが変換効率や信頼性も高い。 ~20%
多結晶 小さい結晶が集まった多結晶シリコンを使用するため単結晶のものより低コストで、現在最も普及している。 ~15%
アモルファス シリコンを結晶化させないため多結晶シリコンよりも低コストだが、変換効率も低い。 ~9%
多接合型 アモルファスシリコンと薄膜多結晶シリコンなど、異なる太陽電池を重ね合わせてタンデム構造にしたもの。 ~18%
化合物半導体系 CIS 銅、インジウム、セレンを原料とし、低コストで変換効率も比較的良い。 ~12%
CIGS CIS太陽電池の3元素にガリウムを加え4元素にしたもの。 ~13%
CdTe カドミウムとテルルを原材料とし、欧米を中心に普及。 ~11%
GaAs ガリウムとヒ素を原材料とする。高効率だが高価で人工衛星などの用途が中心。 25%程度
有機系 有機薄膜 有機半導体を材料とする。製造コストが安く、現在研究が盛んに行われている。 ~8% ※2
色素増感 電極の白金以外は非常に低価格な材料で製造可能。製品寿命などの課題に対する研究が行われている。 ~11% ※2
量子ドット 理論効率75%の潜在性を持つ第3世代太陽電池。実用性を持つ大きさへのスケールアップなどに課題 ~19% ※2
NEDO 再生可能エネルギー技術白書(2010年)を基に編集

※1:実用化済みのものは「○」、研究段階のものは「△」で表記しています。

※2:研究段階の太陽電池についてはモジュール効率ではなく、セル効率を記載しています。

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