太陽電池の変換効率を求める式
I-V曲線のページでも紹介したように、太陽電池が光を受けて発電する際の出力特性は下図のようなI-V曲線で表すことができます。
このグラフの最適動作点での出力(最大出力)を、太陽電池が受ける光エネルギーで割ったものが太陽電池の変換効率です。
変換効率を式で表すと次のようになります。
η = Pmax ÷ ( E × A ) × 100
η:太陽電池の変換効率[%]
Pmax:最適動作点での出力[W]
E:放射照度[W/m2]
A:受光面積[m2]
真性変換効率と実効変換効率
変換効率を計算する際の面積の取り方により真性変換効率と実効変換効率の二通りの定義があります。
真性変換効率の計算では、受光面積として電極などを除く光電効果のある部分のみを用います。
一方、実効変換効率の計算では、電極などを含む太陽電池の全面積を受光面積として用います。
一般的に、真性変換効率は太陽電池素子自体の評価に用いられることが多く、通常は変換効率といえば実効変換効率のことを指します。
セル変換効率とモジュール変換効率
変換効率には太陽電池セル単体の性能を表すセル変換効率と、太陽電池モジュールとしての性能を表すモジュール変換効率の二つがあります。
セル変換効率は研究レベルでの性能評価に使われ、製品化されている太陽電池モジュールの性能を評価する場合にはモジュール変換効率が使われるのが一般的です。
太陽電池セルをつなぎ合せてモジュールにする際には、インターコネクタで連結するために必要な空間など、セル以外の余白の部分ができてしまうため、通常、モジュール変換効率はセル変換効率の70~80%の値となってしまします。
インターコネクタによるセルの連結などモジュールの構造についてはモジュールの構造のページを参照してください。
曲線因子
最適動作点での出力(最大出力)を、開放電圧と短絡電流の積で割った値を曲線因子と呼びます。
曲線因子はFFとも呼ばれ、I-V曲線で表される太陽電池の電流電圧特性の良さを表す指標です。
FF = Pmax ÷ ( VOC × ISC )
FF:曲線因子
Pmax:最適動作点での出力[W]
VOC:開放電圧[V]
ISC:短絡電流[A]
上の式を変換すると、
Pmax = VOC × ISC × FF
とも表すことができ、開放電圧と短絡電流が一定であれば、曲線因子を大きくすることで太陽電池の最大出力を向上が可能ということが分かります。
この曲線因子は主に太陽電池内部の直列・並列接続の抵抗値やダイオード損失の影響を受けるため、太陽電池メーカーではこれらの値を小さくしFFを改善する取り組みが行われています。