化合物半導体系太陽電池
シャープ製の衛星用化合物半導体太陽電池
画像提供:NEDO
太陽電池需要の急拡大によるシリコン不足解消のためのアプローチとして、シリコンを用いずに他の比較的供給の安定している元素の組合せにより半導体的性質を持たせることで開発された太陽電池が化合物半導体系太陽電池です。
現在、量産化されている化合物半導体系太陽電池には以下のようなものがあります。
CIS、CIGS太陽電池
CIS太陽電池は銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)を原料とする化合物半導体系太陽電池で、CIGS太陽電池は先の3つの元素にガリウム(Ga)を加えた4元素からなる化合物半導体系太陽電池です。
CIS太陽電池及びCIGS太陽電池に用いられるCIS半導体やCIGS半導体は、半導体材料として3種類以上の元素を含む多元系の化合物半導体に分類されます。
CIS太陽電池やCIGS太陽電池はガラス等の基材に半導体の薄膜を形成して製造でき低コストでの製造が可能であり、光吸収係数が高く変換効率も比較的高いため、今後新規参入企業による生産拡大や普及が期待される太陽電池の一つです。
CIS太陽電池の詳しい特徴はCIS太陽電池の特徴を参照。
CIGS太陽電池の詳しい特徴はCIGS太陽電池の特徴を参照。
CdTe太陽電池
CdTe太陽電池はその名の通り、カドミウム(Cd)とテルル(Te)を原料とした化合物半導体系太陽電池で、高効率かつ圧倒的な低コストの太陽電池として欧米で急速に普及が進んでいます。
CdTe太陽電池に用いられるCdTeは、Ⅱ族のカドミウムとⅥ族のテルルからなる半導体のためⅡ-Ⅵ族の化合物半導体に分類されます。
有害物質であるCdを原材料とするため参入企業が少なく、現時点では日本国内にはCdTe太陽電池を製造するメーカーはありません。また、全世界で見ても2011年現在ではアメリカのファーストソーラー社がCdTe太陽電池の大部分を製造しています。
詳しい特徴はCdTe太陽電池の特徴を参照。
GaAs太陽電池
GaAs太陽電池もその名があらわすように、ガリウム(Ga)とヒ素(As)を原料とした化合物半導体系太陽電池で単接合セルでは最も高い変換効率発揮します。他の化合物半導体系太陽電池と異なり高価ですが、変換効率の高さと宇宙放射線に対する劣化が少ないため宇宙用として人工衛星などで使用されています。
GaAs太陽電池に用いられるGaAsは、Ⅲ族のガリウムとⅤ族のヒ素からなる半導体のためⅢ-Ⅴ族の化合物半導体に分類されます。
詳しい特徴はGaAs太陽電池の特徴を参照。