CdTe太陽電池の特徴

 CdTe太陽電池は、代表的なⅡ-Ⅵ族系化合物半導体太陽電池で、Ⅱ族のカドミウム(Cd)とⅥ族のテルル(Te)という2つの元素を主原料とする化合物半導体からできています。

 CdTe太陽電池は、CIS太陽電池などの他の化合物半導体太陽電池と同様に、光吸収係数が大きいため薄膜化がすることが可能です。

 CdTe太陽電池は下の図のような構造をしています。

CdTe太陽電池セルの構造

国内では製造されていないCdTe太陽電池

 日本国内では、1984年に松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)が化合物半導体太陽電池としては世界初の民生用製品として商品化に成功していますが、カドミウムの毒性への懸念などから製造が中止され、現在国内でCdTe太陽電池を製造しているメーカーはありません。

 世界的に見ても、2002年に生産を開始したファースト・ソーラー社が、世界全体の生産量のほぼ全てを生産している状況です。

CdTe太陽電池の長所

 CdTe太陽電池は、成膜工程を比較的低温で短時間で行うことができ、非常に低コストで製造可能という長所を持っています。

 ファースト・ソーラー社では、ベースとなるガラス基板を投入後2時間半程度で太陽電池モジュールが完成するといわれており、この効率的な製造プロセスが生み出す低コストによりファースト・ソーラー社は欧米で販売量を増加させ、2009年には太陽電池の生産量で世界トップのメーカーとなった実績があります。

 この他にも、光吸収係数が高く薄膜化が可能なことや、高温時の出力低下少ないことなど、他の化合物半導体太陽電池と共通の長所も備えています。

 CdTe太陽電池の長所をまとめると以下のようになります。

  • 高温時の出力低下が少ない
  • 薄膜化により資源を有効活用できる
  • 成膜工程が比較的低温かつ短時間で可能なため製造コストが低い
  • 成膜工程が比較的低温かつ短時間で可能なためエネルギーペイバックタイム(※)が短い

※エネルギーペイバックタイム:
 太陽電池の製造時に消費したエネルギーを、その太陽電池が発電した電力で回収するために必要な時間のことで、製造時に必要なエネルギーや時間が少なく、変換効率が高い太陽電池ほど、エネルギーペイバックタイムが短くなる。

CdTe太陽電池の短所

 CdTe太陽電池は先にも紹介したように、人体に有毒なカドミウム(Cd)を主原料として含むため、環境負荷の面からの懸念があります。

 この懸念に対応するため、ファースト・ソーラー社では同社の販売したCdTe太陽電池を使用後に無償で引き取り、製品に含まれるカドミウムをリサイクルする制度を導入しています。

 また、レアメタルであるテルル(Te)の資源量を懸念する声もあります。

 CdTe太陽電池の短所をまとめると以下のようになります。

  • 原材料に毒性の高いカドミウムを含んでいる
  • 原材料に希少金属(レアメタル)であるテルルを含んでいる

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