CIS太陽電池の特徴

 CIS太陽電池は銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)の3つの元素を主原料とする化合物半導体系太陽電池で、その名称は3つの主原料の頭文字であるC,I、Sを組み合わせたものです。

 CIS太陽電池は光吸収係数が大きいため薄膜化がすることができ、太陽電池セルの厚さは結晶系シリコン太陽電池が200~300μmであるのに対して、CIS太陽電池では2~3μmと100分の1程度で製造可能です。

 CIS太陽電池は下の図のような構造をしています。

CIS太陽電池セルの構造

 日本国内では昭和シェル石油の子会社であるソーラーフロンティアが製造を行っています。

CIS太陽電池の長所

 CIS太陽電池はCIS系太陽電池の温度特性のページで紹介したように、温度係数が小さく高温時の出力低下が小さいという特徴を持っています。
 これとあわせて、直射日光に当たることによるアニール効果で出力が一時的に向上することも確認されており、結晶系シリコン太陽電池などよりも夏場の日差しの強い時期に性能を発揮しやすい太陽電池と言えます。

 また、モジュールを製造する際にセルと電極をモジュール上一括して形成してしまうため、セルをストリングにしてモジュール化する結晶系シリコン太陽電池と比較して部分影の影響が小さくて済む点も特徴の一つです。

 この他にも、光吸収係数がシリコン系太陽電池の約100倍あり、薄膜化が可能で使用する資源量が少なくて済むというなどの長所も備えています。

 CIS太陽電池の長所をまとめると以下のようになります。

  • 高温時の出力低下が少ない
  • アニール効果で出力が向上する
  • モジュール上に部分的な影ができた場合の出力低下が少ない
  • 薄膜化により資源を有効活用できる
  • 製造工程が大量生産向きなためスケールメリットによる低価格化が可能

CIS太陽電池の短所

 CIS太陽電池は、上記のように多くの長所をもつ太陽電池ですが、海外で研究されているものの中には高効率化のためにバッファ層に人体に有毒なカドミウム(Cd)を含む硫化カドミウム(CdS)を用いたものもあります。

 カドミウムを含むバッファ層を持ったCIS太陽電池の方が高効率化に有利と言われていますが、ソーラーフロンティアの製造するCIS太陽電池にはカドミウムを用いていません。

 また、現段階では結晶系シリコン太陽電池と比較して変換効率が低いため、今後の技術革新が待たれます。

 CIS太陽電池の短所をまとめると以下のようになります。

  • カドミウムなどの有害物質を使用する製品もある
  • 結晶系シリコン太陽電池と比較して変換効率が低い

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