CIGS太陽電池の特徴
CIGS太陽電池は銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)の4つの元素を主原料とする化合物半導体系太陽電池で、その名称は4つの主原料の頭文字であるC,I、G、Sを組み合わせたものです。
CIGS太陽電池は同じ多元系化合物半導体太陽電池であるCIS太陽電池のインジウムの一部をガリウムに置き換えた構造をしており、太陽電池としての特性もCIS太陽電池に似たものとなっています。
CIGS太陽電池は下の図のような構造をしています。
日本国内では本田技研工業の子会社であるホンダソルテックが量産化しているほか、ソーラーフロンティアでも研究が進められています。
CIGS太陽電池の長所
CIGS太陽電池は構造的に近いCIS太陽電池と似た特性をしており、温度係数が小さい、光吸収係数大きく薄膜化が可能などといった長所を有しています。
また、CIS太陽電池と比較した場合、エネルギーバンドギャップがCIS半導体の1.04eVに対して、CIGS半導体では1.25eVであり、太陽光エネルギーを最も効率よく吸収できる1.4eVにより近い値であるため、高効率の点で有利という特徴も持っています。
CIGS太陽電池の長所をまとめると以下のようになります。
- 高温時の出力低下が少ない
- アニール効果で出力が向上する
- モジュール上に部分的な影ができた場合の出力低下が少ない
- 薄膜化により資源を有効活用できる
- 製造工程が大量生産向きなためスケールメリットによる低価格化が可能
- CIS太陽電池と比較して高効率化に有利なエネルギーバンドギャップを有している
CIGS太陽電池の短所
CIGS太陽電池は、上記のように多くの長所をもつ太陽電池ですが、多くの場合バッファ層に人体に有毒なカドミウム(Cd)を含む硫化カドミウム(CdS)が用いられており、環境面での負荷が高い点が短所の一つです。
この点については、独立行政法人産業技術総合研究所で、カドミウムフリーのCIGS太陽電池で高効率を達成する研究成果が得られるなどしており、今後改善していくと思われます。
また、現段階では結晶系シリコン太陽電池と比較して変換効率が低いため、今後の技術革新が待たれます。
CIGS太陽電池の現時点での短所をまとめると以下のようになります。
- バッファ層にカドミウムを含有するため環境負荷が高い
- 結晶系シリコン太陽電池と比較して変換効率が低い