太陽電池の等価回路

 I-V曲線のページで紹介したような出力特性を示す太陽電池を電子デバイスのひとつと捉え、等価回路で表すと以下の図のような回路になります。

 なお、等価回路とは、電子工学などの分野で複雑なデバイスの挙動を把握するために、デバイスの機能をその特性を表す要素の組み合わせとして、単純化して表現したものです。

I-V曲線

 図中の各記号は以下の要素や値を表しています。

  • I:太陽電池の出力電流
  • V:太陽電池の出力電圧
  • ph:光誘起電流
  • :ダイオード電流
  • :直列抵抗
  • sh:並列抵抗

太陽電池の出力電流を表す式

 上の等価回路から太陽電池の出力電流であるIは、以下の式で表すことができます。

I = Iph - I - (V + RI) / Rsh・・・(1)

 式(1)の右辺第3項(V + RI) / Rshは、並列抵抗Rshを流れる電流の大きさを表しています。

 

 一方、ダイオード電流Iは、電子の分布関数などから以下のように表すことができます。

= I {exp(qV / nkT) - 1}・・・(2)

  • :ダイオードの飽和電流
  • :ダイオードにかかる電圧
  • q:素電荷量
  • n:ダイオードの理想係数
  • k:ボルツマン定数
  • T:絶対温度

 また、V = V + RIであることから、これを代入すると式(2)は以下のようになります。

= I [exp{q(V + RI) / nkT} - 1]・・・(3)

 

 この式(3)を式(1)のIへ代入すると、太陽電池の出力電流を表す式(1)は以下のようになります。

I = Iph - I [exp{q(V + RI) / nkT} - 1] - (V + RI) / Rsh

・・・(4)

ダイオードの理想係数

 上記の太陽電池の出力電流を表す式に用いられているダイオードの理想係数は、ダイオード因子とも呼ばれダイオードの特性を表す因子です。

 ダイオードの理想係数は、この値が1に近いほど理想的なpn接合をもつ理想ダイオードに近いことを表し、値が2に近づくほど欠陥などによるキャリアの再結合の発生しやすいダイオードであることを表しています。

このページの先頭へ