多結晶シリコン太陽電池の特徴
多結晶シリコン太陽電池は、シリコン半導体を使用したpn接合型太陽電池であり、基本的な原理や構造は単結晶シリコン太陽電池と同じですが、原材料に単結晶シリコンではなく多結晶シリコンを使用する点が異なります。
原料となる多結晶シリコンが、多数の単結晶シリコンの断片からできているため、多結晶シリコン太陽電池セルは下の写真のようなまだら模様の外観をしています。
多結晶シリコン太陽電池の長所
多結晶シリコン太陽電池の原材料となる多結晶シリコンは、単結晶シリコンの断片を溶解し鋳型内で冷却するキャスト法を用いて製造されます。
このキャスト法で作られる多結晶シリコンのインゴットは、結晶成長工程が必要な単結晶シリコンのインゴットと比べ製造コストを安価に抑えることができます。
また、原料となる単結晶シリコンの断片は、単結晶シリコンインゴットの端部などを再利用できることから原料コストも安く抑えることが可能です。
なお、単結晶シリコンのインゴットは溶解炉から引き上げながら結晶を成長させるため円柱状となり、ウェハーにする際も角が丸まってしまいます(単結晶シリコン太陽電池の写真参照)が、多結晶シリコンではインゴットを鋳型に入れて作るため断面を四角くすることができ、上の写真のように真四角の太陽電池セルを作ることが可能です。
このことにより、多結晶シリコン太陽電池ではモジュールを作るためにセルを並べる際に隙間を少なくすることができ、モジュール効率が向上します
多結晶シリコン太陽電池の長所をまとめると以下のようになります。
- キャスト法を用いるため単結晶シリコンと比較して原材料の製造コストが安い
- 単結晶シリコンインゴットの不要部分を再利用することで原料コストを安価に抑えることができる
- 単結晶シリコン太陽電池と同等の耐久性・信頼性を持つ
多結晶シリコン太陽電池の短所
上記のような長所から、現在、世界中で最も多く生産される太陽電池となっている多結晶シリコン太陽電池ですが、原材料となる多結晶シリコンが多くの単結晶シリコンの断片で構成されている為、単結晶と単結晶の接する個所に結晶粒界という接合面を持ち、この結晶粒界における構造欠陥の影響で単結晶シリコン太陽電池よりも変換効率が低くなるという短所を持っています。
多結晶シリコン太陽電池の短所をまとめると以下のようになります。
- 原材料の不純物や構造欠陥の影響で単結晶シリコン太陽電池よりも変換効率が劣る