ヘテロ接合型(HIT)太陽電池の特徴
ヘテロ接合とは物性の異なる材料同士の接合のことを言い、このヘテロ接合を用いたシリコン系太陽電池にパナソニックのHIT太陽電池があります(※)。
HIT太陽電池は下の図のように、n型単結晶シリコン半導体の両面にアモルファスシリコン半導体が形成された構造をしています。
なお、その名称はHeterojunction with Intrinsic Thin-layerの頭文字を取ったものです。
※HIT太陽電池は三洋電機によって開発されましたが、現在は吸収合併により三洋電機の太陽電池事業を受け継いだパナソニックが製造をおこなっています。
ヘテロ接合型(HIT)太陽電池の長所
結晶系シリコン太陽電池のように同一の結晶構造をもつ半導体同士を接合した場合には、その接合面に生じる欠陥が変換効率の低下要因となりますが、ヘテロ接合を用いるとこの欠陥の発生が減少するため変換効率を向上させることが可能です(詳細は変換効率を高めるための研究のページ参照)。
また、HIT太陽電池では薄膜化されたアモルファスシリコン層を用いるため、結晶系シリコン太陽電池と比較してシリコンの使用量を減らすことができ、シリコンインゴットの製造に必要な熱エネルギーの一部が不要となることから製造時に使用するエネルギー量も減らすことができます。
更に、結晶系シリコン太陽電池と比較して高温時の出力低下が小さいこともこの太陽電池の特徴として挙げられます(HIT太陽電池の温度特性のページ参照)。
ヘテロ接合型(HIT)太陽電池の長所をまとめると以下のようになります。
- 単結晶シリコン太陽電池と比較して変換効率が高い
- 単結晶シリコン太陽電池と比較して省資源
- 単結晶シリコン太陽電池と比較して省エネルギー
- 結晶系シリコン太陽電池と高温時の出力低下が小さい
ヘテロ接合型(HIT)太陽電池の短所
ヘテロ接合を利用したHIT太陽電池は上記のように多くの長所を持ち、非常に優れた太陽電池と言うことができます。
しかし、上の模式図からわかるように単結晶シリコンの基板の両面にi型アモルファスシリコン層を形成し、更にその外側にp型及びn型のアモルファスシリコン層を形成するという製造工程の複雑さから、製造コストが高くなってしまいます。
この製造コストの高さがHIT太陽電池の数少ない短所のひとつと言えます。
ヘテロ接合型(HIT)太陽電池の短所をまとめると以下のようになります。
- 製造コストが複雑でコストが高い