変換効率の低下要因
太陽電池が利用できる光に書いたように、エネルギーバンドギャップの大きさ以上のエネルギーを持った光によって励起された伝導電子は、伝導帯に収まる際に余分なエネルギーを熱として放出するため、この放出されるエネルギーは電気に変換されず変換効率の低下の要因となります。
このエネルギーの放出によるものだけで10%以上のエネルギーのロスが発生していますが、この他にも以下のような太陽電池の変換効率を低下させる要因が存在します。
移動と中の電子と正孔の再結合
太陽電池の仕組みに書いた光起電力効果により発電するメカニズムにおいて、空乏層で発生した伝導電子と正孔は、内蔵電位の影響を受けて互いに逆方向に高速で移動するため電子と正孔はすぐに引き離され再結合する確率は低くなります。
しかし、空乏層以外の場所で発生した伝導電子と正孔は、移動するための推進力がそれぞれの濃度差による拡散のみのため、移動速度が遅く再結合が起こりやすくなります。
この再結合が発生してしまうと、光を吸収することで発生した伝導電子と正孔を電力として取り出すことができなくなり、変換効率の低下要因となります。
なお、伝導電子と正孔が再結合する際には、伝導電子の吸収した光のエネルギーは光もしくは熱の形で外部に放出されてしまします。
不純物や結晶欠陥における再結合
半導体の結晶構造中に不純物や結晶欠陥などが存在すると、その部分で電子と正孔の再結合が発生しやすくなります。
また、結晶表面の近傍は原子の配列がその部分で途絶えているため、構造的には結晶の欠陥と類似したものとなり、この部分でも電子と正孔の再結合が発生しやすくなります。
このような半導体の結晶構造に起因する再結合も変換効率低下の要因となってしまいます。
以上のような変換効率の低下要因に対する対策については変換効率を高めるための研究で紹介します。