太陽光発電システムの発電量の計算

 太陽光発電システムの発電量は次の式で見積ることができます。

 E = PAS × H × K

 E:太陽光発電システムの発電量

 PAS:太陽光発電システムの定格容量

 H:発電量を見積る期間の積算日射量

 K:総合設計係数

 上の式に用いられる値のうち太陽光発電システムの定格容量PASについては、使用する太陽電池モジュールの定格出力の合計値を用いれば良いのですが、その他の値については以下のような方法で求める必要があります。

積算日射量の算出

 発電量を見積る期間の積算日射量Hについては、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公表している、日射量データベースの値を使用します。

 例として東京における南向き・傾斜角30°の各月の日射量の値を表にすると以下のようになります。

 下の例のように、月ごとに日射量の変動があるため、実際に年間の発電量を見積もる際には、12か月分の月間発電量を算出し、それを合計することで年間発電量を算出します。

 
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
日射量 3.79 4.00 3.97 4.36 4.27 3.59 3.78 4.14 3.23 3.19 3.16 3.31

 ※日射量の単位:[kWh/(m2・日)]

総合設計係数の算出

 総合設計係数Kは、太陽電池モジュールの出力のばらつきや、回路損失、機器による損失などを補正するための係数である基本設計係数K’と、太陽電池モジュールの温度変化に伴う出力の変化を補正する温度補正係数KPTを掛け合わせて算出されます。

 K = K’ × KPT

 基本設計係数K’については、いろいろな要素に対する補正を含むため、各要素ごとに細分化された補正係数を掛け合わせて算出されます。

 基本設計係数K’はシステムを構成する機器に対する補正係数を含むため、系統連系型や独立型といったシステム構成の違いを反映した補正係数を用いる必要があります。

 例として、蓄電池をもたない系統連系型太陽光発電システムについての基本設計係数K’を以下に示します。

 K’ = KHD × KPD × KPU × KPA × ηINO

 KHD:日射量年変動補正係数

 ⇒推定した期間日射量の確からしさを表す補正係数で、JISの推奨値は0.97

 KPD:経時変化補正係数

 ⇒汚れ、効率劣化、ガラス面反射を考慮した補正係数で、JISの推奨値は0.95

 KPA:アレイ回路補正係数

 ⇒配線抵抗損失、逆流防止ダイオード損失の補正係数で、JISの推奨値は0.97

 KPU:アレイ負荷整合補正係数

 ⇒アレイ電力動作点の最適動作点とのずれを考慮した補正係数で、JISの推奨値は0.94

 ηINO:パワーコンディショナー実効効率

 ⇒パワーコンディショナーの変換効率を表す値で、JISの推奨値は0.90

このページの先頭へ