太陽電池とは

太陽電池

 太陽電池は、半導体の一種(※1)で太陽の光を電気に変換する機能を持ったデバイスです。

 「JIS C 8960 太陽光発電用語」では、太陽電池を「太陽光などの光の照射を受けてそのエネルギーを直接電気エネルギーに変える半導体装置。光起電力効果を利用した光電変換素子の一種。」と定義しています。

 なお、「電池」という名前が付いていますが、現在一般に利用されている太陽電池は、乾電池や蓄電池の様な電気を蓄える機能は持っていません(※2)。

 ※1:色素増感太陽電池のように、半導体とは異なる形式の太陽電池も開発されています。

 ※2:研究段階ですが、信州大学の樋上照男教授などが研究している、蓄電機能を持った太陽電池も存在します。

エネルギーの源は無尽蔵

 現在一般に販売されている太陽電池の変換効率最大でも20%程度であり、火力発電所の発電効率(40%程度)などと比較すると約半分しかありません。

 しかし、火力発電所のエネルギー源が資源の枯渇が心配されている化石燃料であるのに対して、太陽電池のエネルギー源は無尽蔵に降り注ぐ太陽の光であり、近い将来の資源の枯渇や資源量の減少に伴う原料価格の高騰などに悩まされる心配が無い、安定した電力供給源として期待がもてます。

太陽電池をゴビ砂漠に敷き詰めると

 地球に降り注ぐ太陽光のエネルギーは、1㎡当たり約1kWで、ゴビ砂漠全部に太陽電池を敷き詰めると、現在地球で人間が使っている全エネルギーをまかなうことができると言われています。

 ※ゴビ砂漠の面積は地球の全陸地面積の約0.9%に相当します。

統計データを用いて確認してみると・・・

 ゴビ砂漠の全面積に太陽電池を敷き詰めた場合の発電量を計算してみます。

 まず、太陽電池の発電能力について計算します。
 これは、太陽電池の変換効率(15〜20%)と、単位面積あたりに降り注ぐ太陽光のエネルギーを掛け合わせれば単位面積当たりの発電量が算出できそうですが、太陽の高度と太陽電池の角度の関係を考慮しなければならない点や、太陽電池の影が他の太陽電池にかからないようにある程度間隔を空けて設置する必要がある点、および太陽電池以外の付帯設備の設置面積を考慮する必要がある点などから単純には計算できません。

 そこで、実際の太陽光発電所のデータから単位面積あたりの発電量を計算することとします。
 東京電力が川崎市に建設中の浮島太陽光発電所(仮称)を例にとると、太陽光パネル設置面積が約10ha、年間推定発電電力が740万kWhとなっているので、単位面積当たりの年間発電量は以下のようになります。

 7,400,000kWh÷(10×100×100)㎡=74kWh/㎡

 この値にゴビ砂漠の面積である、約130万k㎡をかけると、以下のような値になります。

 74kwh/㎡×(1,300,000×1000×1000)㎡=9.62×1013kWh

 次に、世界のエネルギー消費量ですが、こちらは資源エネルギー庁のエネルギー白書2010に記載されている「世界のエネルギー消費量の推移」から最新のデータである2008年の11,295×106toeという値を用います。

 単位の「toe」はtonne of oil equivalentの略で原油換算トンであり、 「資源エネルギー庁長官官房総合政策課:総合エネルギー統計(平成16年度版)」から、1toe=1.08×104kWhなので、世界のエネルギー消費量を電力に換算すると以下の値になります。

 11,295×106toe×1.08×104kWh/toe≒1.22×1014kWh

 先に計算したゴビ砂漠での発電量とは26%程度の誤差がありますが、近いオーダーの値となりした。

 なお、先に計算したゴビ砂漠での発電量は、1998年の世界のエネルギー消費量である約9.6×1013kWh(計算方法や参考データは2008年と同様)とほぼ同じ値となっています。

 上記の計算はあくまでも試算のため、日本の気候とゴビ砂漠の気候の違いや、設置面積が広くなることで発生する送電ロスなどについては考慮していません。

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